
9月13日付の朝日新聞で、
「M&A『経営者保証』、顧客に虚偽回答促す 仲介最大手が社員解雇」
と題する記事が掲載されていました。
本記事によると、M&Aに伴う株式の譲渡後も、
売り手側の経営者の個人保証が解除されないまま残っている状況でした。
にもかかわらず、仲介会社と買い手企業が売り手側の経営者に対して、
保証解除の進捗状況を確認する社内担当部署に「全部解除された」と
虚偽の回答を行うよう働きかけたとされています。
企業経営者の多くは、
「会社を売却すれば、会社の債務に関する個人保証からも解放されるだろう」
と考えがちです。
しかし、それは大きな誤解です。
会社の株式を100%譲渡し、経営から退いたとしても、
銀行などに対する「経営者保証」が自動的に解除されるわけではないからです。
(「経営者保証」の詳細については、下記リンクを参照ください。)
1.会社を売った後も、社長の保証債務が残るリスク!
あるオーナー経営者が、自社株式を1億円で売却したとします。
M&Aが成立し、代表取締役も退任しました。
これで長年続けてきた会社の経営から完全に離れた――。
ところが、会社には銀行から2億円の借入金があり、
その借入金について旧経営者の個人保証が残っていたらどうなるでしょうか。
売却後に会社の業績が悪化し、借入金を返済できなくなった場合は、
前経営者が銀行から保証債務の履行を求められるリスクがあるのです。
これは売り手経営者にとって極めて大きなリスクです。
2. 国も「経営者保証が解除されないリスク」を注意喚起
こうした問題を受け、
中小企業庁の「中小M&Aガイドライン(第3版)」でも、
経営者保証の扱いについて具体的な対応が示されており、
M&A後に個人保証の解除、あるいは買い手側に移行する場合は、
その内容を最終の株式譲渡契約に明確に位置付けるよう検討すべきとしています。
さらに重要なのは、単に「買い手は経営者保証の解除に努める」
という程度で終わらせるのではなく、
・保証解除・移行を「買い手の義務」として位置付けること
・保証解除・移行を「M&Aのクロージング条件」とすること
・解除・移行されなかった場合の契約解除や補償について定めること
などが重要だとされています。
さらに、万全を期すためには、
クロージング日に金融機関等にも関与してもらい、
代表者変更と保証解除・移行の手続きを同時に行う方法も示されています。
つまり、「経営者保証をどう外すのかを事前に詰めておく」ことが重要なのです。
3.業界も保証解除に関するトラブル防止対策を実施中だった
この点については、M&A業界でも対策が進められています。
2024年10月より、M&A支援機関協会は、
不適切な買い手に関する情報を共有する「特定事業者リスト」の運用を開始しました。
現在では、最終契約で経営者保証等の解除が合意があるにもかかわらず、
M&Aの実行日から原則「60営業日」を経過しても解除されない場合は
特定事業者リストに登録されます。
また、買い手が、M&A実行後10営業日以内に
金融機関等へ保証解除について相談しない場合なども、
自動登録の対象となる仕組みが設けられています。
この背景には、M&A後も経営者保証が解除されず、売り手経営者が大きなリスクを抱え続ける
トラブルが相次いで発生したことがあります。・・・続きはブログで!


