
9月16日付の日経新聞に、
「非上場株の相続『中小企業の5割超で評価額減少』 国税庁が試算公開」
と題する記事が掲載されていました。
見出しだけを見ると、
「非上場株式の評価方法が変われば、
中小企業の自社株評価額が下がり、事業承継がしやすくなる」
と受け取る方もいるかもしれません。
しかし、国税庁が今回公表した試算結果を詳しく見ると、
実態はそれほど単純ではありません。
同じ中小企業でも、その規模等によって試算結果が大きく異なるからです。
今回は、現在検討されている非上場株式の新しい評価方式と、
事業承継への影響について考えてみたいと思います。
1.「中小企業の5割超で評価額減少」は本当か?
国税庁は、相続税・贈与税の申告データから1,378社を抽出し、
新しい評価方式を適用した場合の株式評価額を試算しています。
斟酌率1.0、すなわち新方式で算出した評価額に対する減額調整を行わない場合、
現行の評価額以下になった会社の割合は、以下の通りになったとのことです。
・大会社 16.4%
・中会社 26.5%
・小会社 50.7%
つまり、「5割超で評価額が下がる」というのは主として「小会社」です。
一方、大会社、中会社では、現行評価額以下となる割合は、少数にとどまっています。
したがって、本記事の見出しだけから、
「今回の見直しで中小企業の自社株評価が全般的に下がる」
と受け止めるのは早計です。
2.なぜ非上場会社の評価方法はいま見直されているのか?
ご承知のとおり、
非上場会社には市場で売買される株価がありません。
そこで、相続や贈与の際には、
税務上ルールに則って株式の評価額を計算する必要があります。
現行制度では、会社の規模や株主の立場などによって、
イ.類似業種比準方式
ロ.純資産価額方式
ハ.両者(イとロ)の組み合わせ
などによって評価しています。
大まかにいえば、
・「大会社」 → 類似業種比準方式
・「中会社」 → 類似業種比準方式+純資産価額方式の組み合わせ
(区分内の規模の3分類で両者の比重も変わる)
・「小会社」 → 純資産価額方式
という仕組みになっています。
今回の見直しの背景には、
類似業種比準方式を適用できる大会社や中会社について、
株式評価額が相対的に低く算定されているという批判があります。
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