
7月9日付けで「東京商工リサーチ」が公表した調査によると、
2026年上半期(1~6月)の「後継者難」を理由とする倒産は264件に達し、上半期としては2013年以降で最多となったとのことです。
前年同期比で14.7%増加しており、後継者不在の問題が、単なる将来の経営課題ではなく、
現実の「企業消滅」につながっていることがわかります。
さらに注目すべきは、その原因です。
後継者難倒産(264件)のうち、
・代表者等の死亡 :119件
・代表者等の体調不良:107件
の2つを合わせて226件と、全体の85.6%を占めています。
この数字から見えてくるのは、事業承継を事前に準備しなかったために、突然経営を続けられなくなった会社が非常に多いということです。
1.経営者の健康状態は予想できるものではない
多くの経営者にとって、事業承継は「いつか考えなければならない問題」ではあっても、「今すぐ取り組む問題」ではないのかもしれません。
「まだ元気だから大丈夫」
「あと数年は現役を続けたい」
「子どもが継ぐかどうか、もう少し様子を見たい」
そのように考えているうちに、時間だけが過ぎていきます。
ただ、経営者の健康状態の変化は、予想できるものではありません。
その一方で、特に中小企業や小規模事業者の場合は、経営者本人が営業、取引先との関係、技術、資金繰りなどを一手に担っているケースが少なくありません。
そのような会社では、経営者が突然不在になると、取引先との関係や重要なノウハウが引き継がれず、従業員や顧客が離れ、事業価値が短期間のうちに失われていくことがあります。
今回の調査で、「後継者難」倒産の96.2%が破産だったという事実は、その厳しい現実を示しています。
2.事業承継には想像以上の時間がかかる
事業承継は、「後継者を決めれば終わり」というものではありません。
親族内承継であれば、後継者の意思確認や育成に加え、自社株式の移転や税負担、他の相続人との関係を整理する必要があります。
従業員への承継でも、株式取得資金や経営者保証などの課題があります。
第三者承継、いわゆるM&Aについても、買い手候補を探し、条件を交渉し、デュー・ディリジェンスの調査を受け、契約を締結して引継ぎを行うまでには相応の時間がかかります。
つまり、どの方法を選んでも事業承継には「時間」が必要なのです。
ところが、経営者が倒れてからでは、その時間を確保できません。
帝国データバンクの最新調査(2025年)によると、事業承継の準備を進めていたにもかかわらず、「計画中止・取りやめ」となってしまった割合は、経営者が60代で2.3%、70代で3.3%、80代以上では4.7%と「高齢になるほど途中で頓挫するリスクが高まる」ことが分かっています。
本来なら複数の選択肢があったはずの会社が、事実上「廃業」や「破産」しか選べない状況に追い込まれることも少なくないのです。
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