事業承継の相談で、最も多い悩みのひとつが、「後継者に株を買うお金がない」という問題です。
・自社株の評価額はわかっている。
・後継者も決まっている。
しかし、それを実現するための「資金」がない。
ここで停滞するケースは、実はとても多いのです。
今回は、実際の相談事例をもとに、資金問題をどう解決していくのかを解説します。
1.相談事例
■経営者 T氏(72歳)
■会社 建設関連資材卸
年商 6億円
営業利益 4,000万円
純資産 2億円
■自社株評価額 約1億円
(類似業種比準方式と純資産価額方式の併用による試算結果)
■家族 妻 (70歳)
長男(45歳・常務)後継者
次男(別会社勤務)
2.ご相談の内容
社長の希望はシンプルでした。
「後継者である長男に株を買ってもらいたいが、購入資金を準備するのが難しい。」
長男の貯蓄は、約800万円。
一方、顧問税理士の試算によると、
・想定される相続税は、約2,000万円
・生前贈与は税負担が重い
ため「資金問題の解決」がボトルネックでした。
3.課題の整理
整理すると、課題は以下の3点にまとめられます。
① 後継者に買取資金がない
② 遺留分侵害に伴い、次男への代償金の準備も必要
③ ただし、会社には6,000万円の現預金がある
上記のような事例は、事業承継で「非常に頻繁に見られるケース」ですが、
同時に資金問題・税務問題・親族間の調整といった「悩ましい問題」が複合的に凝縮されています。
本ケースの場合、
長男個人に買取資金がなく、生前贈与の税負担も重くなるため、単純に「長男に株を買わせる」という選択は非現実的でしょう。
ここで、「会社に6,000万円の資金がある」ことが打開策の一つになります。
それを起点に、円滑な事業承継を実現するための総合的な解決策として、以下3つのステップから提案プランを考えました。
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【ステップ1】「役員退職金」の支給
長男に株を買い取らせるのではなく、会社の現預金(6,000万円)を活用して、T社長の退任時に「役員退職慰労金」※を支給します。
(※なお、役員退職金は、最終報酬月額・勤続年数・功績倍率に基づき、税務上妥当な範囲で算定する必要があります。)
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