経営者様から事業承継の相談を受けると、メインバンクから
「後継者が出資する持株会社を設立し、その会社に自社株を譲渡するスキーム」
について提案を受けたという事例に遭遇します。
いわゆる、持株会社スキームといわれるものです。
たしかに一見合理的でスマートな手法であり、実際に多くの場面で活用されている手法でもあります。
しかし、このスキームは決して万能な解決策ではありません。
むしろ、会社の状況によっては、後々大きな負担を残すリスクも考えられるので留意が必要です。

なぜこのスキームが提案されやすいのか
このスキームが広く提案される理由を整理しておきましょう。
まず、金融機関にとっては、持株会社が借入を行い、その資金で株式を取得するという構造は、融資の組み立てがしやすいという特徴があります。
返済のための原資については、事業会社から受け取る配当(基本的に持株会社では課税されない)があるため、わかりやすいスキームなのです。
また、経営者側から見ても、
1)自社株の分散を防ぎ、後継者に集約できる
2)持株会社の設立によって、経営権の移転が明確になる
3)株式譲渡に伴う現経営者の「手取り収入」が大きい
といったメリットがあります。
特に魅力的に感じやすいのが、上記の3)です。
自社(事業会社)に株式を直接譲渡する場合、株式の譲渡額とその株式に相当する資本金との差額分は「みなし配当」として総合課税の対象となるため、その差額によっては最高税率(約55%)が課される可能性があります。※
<※中小企業の場合、創業時の資本金が少額のため、譲渡額との差額の『ほぼ全額』が最高税率の適用になってしまうことが珍しくありません。>
一方、持株会社に売却する場合は、「譲渡所得」として、譲渡差益に対して約20%程度の分離課税で済むため、自社の買取りに比べて社長の手取り収入が大きくなります。
こうした比較的分かりやすいメリットがあるため、経営者にとっても魅力的に映るのです。
特に後継者がすでに決まっていて収益力が安定している会社の場合は、合理的な選択肢となり得るでしょう。
ただ、ここで重要なポイントは、「自社にとっても、ベストな選択なのか」ということです。・・・続きはブログで!


